料理もお店も自然体。パリ中の食いしんぼうたちが心から楽しむレストラン。
こんにちは、パリナビです。おいしいものレーダーが敏感な人。みなさんの周りにいらっしゃいませんか?その人たちの口コミ、そして食のプロたちの間で、オープンしてからたちまち評判となったレストランがこちら「セプティム」。シェフは三ツ星レストランのアルページュなどで腕を磨いたベルトラン・グレボーさんと、サービスを担当するのはテオ・プリアさん。高校時代からの友人どうしで始めたお店のウリは、「ナチュラル」をキーワードとした空間と料理。シェフ、グレボーさんの人柄も交えてご紹介しましょう。
コメディ映画のレストラン「セプティム」
パリの東に位置する11区はレストラン、カフェ、バーが集まる下町の雰囲気をもつ地区。センスのよい古着屋もあり、最近注目のエリアのひとつです。ただこちらのお店の外観の色は、この界隈では見当たらない不思議な青色。イギリス海峡を越えてやってきたような新鮮な空気感があります。店名「セプティム(Septime)」とは1966年のフランスのコメディ映画「Le grand Restaurant」に登場するシャンゼリゼ近くの高級レストランの名前にちなんでつけられたとのこと。
セロハンテープで貼られた Septime
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郵便受けにもセンスを感じます
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レストラン?それともビストロ?
入口にはカウンター。誰もが利用できるように、和気あいあいとして活気のあるお店を目指した店内は「ザ・ナチュラル」。昼間は外の光が入り、夜は優しいライトが照らします。まるで森の妖精が住んでいそう。ノルウェー風、スカンジナビア風、英国風・・とさまざまに表現される空間。そしてレストラン、ビストロ、どちらもありの雰囲気。「みなさん、お好きなようにとらえてもらっていいんです」。木のテーブルがビストロ風。テーブルクロスはありません。 「余計なものを取り除いた、ナチュラルなお店です。僕の料理のようにね」。ベルトランさんの自信がうかがえます。
長居してしまいそうなカウンター
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自然光が入る気持ちのいい店内
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席を待つ間にカウンターで一杯、もあり
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木のテーブルはビストロの雰囲気
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オープンは自然な出来ごと
ふたりは高校時代からのつきあい
左はサービス担当のテオ・プリア(Théo Pourriat)さん、右はシェフのベルトラン・グレボー(Bertrand Grébaut)さん。2人は先ほどもふれたように高校時代からの友人。「テオがサービスとソムリエを担当。僕は料理に集中します」。とシェフのベルトランさん。気心の知れたニ人は息もぴったりです。 当初はデザインを学んでいたベルトランさんですが、前々から興味のあったレストランに魅かれ、料理の道に入りました。始めてから「これは面白い!」と思い、三ツ星レストランの「アルページュ」などで修行。その腕前を認められ、シェフに抜擢された「アガペ」では一つ星を獲得。 お店のオープンは「料理人なら自分のお店をもちたいと思うのが自然でしょう?」とのこと。経験を重ねながら着実に自分の料理を築いてきたベルトランさん。ちょうどよいタイミングだったようです。
食材選びに妥協なし
メニューには素材の名前のみが書かれています。「ありのままの料理」というベルトランさんが大事にするのは素材。質にこだわる食材は、その土地でとれたものです。聞くと、仕入れ業者は星付きホテルやレストランと同じところばかり。「近所のブーランジュリーで買いました」というパン。焼きたて、新鮮なバゲットのおいしさは格別です。
食材の名前のみがかかれたシンプルなメニュー。最近のレストランの傾向のひとつ
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パン袋にもお店の個性が感じられます
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「ナチュラル」で洗練された料理
マグロ、フランボワーズ、緑色はきゅうりのクリーム。クローバーを添えています。なぜマグロにフランボワーズ?これは「酸味としてフランボワーズを選びました」とのこと。フランス人らしい発想ですよね。おいしいマグロを食べたことのある日本人にとっては「マグロには醤油!」。文化の違いを感じた一皿です。それにしても赤、緑の色合いが素敵!
マグロときゅうりの前菜
美しく生まれ変わったイカ
イカ、ポワロー、チョリゾー。ポワローは黒いイカスミで覆われています。最近、頻繁に目にするようになった縦に食材を置く盛りつけ。こんなに美しい姿になって現れたイカは、すっとナイフの入るやわらかさです。
火入れが絶妙。メインの鶏肉
鶏、とうもろこしと玉ねぎ。厚みのある胸肉はしっとり。絶妙な火入れ加減に、シェフの技術が光ります。レバー、脚の部分は味わい深く、野菜の歯ごたえと甘みが感じられます。
デザートは桃のコンポートとアイスクリーム、メレンゲとフロマージュ・ブラン
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カフェで締めくくり
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「ようこそここへ」
入り口の大テーブルには、「明日も仕事、がんばるぞー」という様子の8人のムッシュたち。厨房の壁にかかれたメモらしき文字から、料理人たちの仕事の様子が伝わってくるようです。 思い思いに心からリラックスして楽しむお客さん、きびきびと働く料理人、そして親しみのあるサービスのスタッフたち、料理が全て一体となった店内は、劇場のよう。「ようこそここへ」。こんな言葉がお似合いのビストロです。
おしゃべりに花が咲くムッシュたち
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厨房の壁にはメモらしき文字が
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いかがでしたか?食材のおいしさを最大限にひきだして、お客さんに提供してくれるシェフと温かみのあるサービス。今後の活躍が楽しみなお店です。以上、パリナビでした。