ブルス・ド・コメルス

ピノー・コレクションBourse de Commerce / Pinault Collection

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レ・アールの商品取引所が現代アートの美術館へ華麗な転身!膨大なコレクションと建築は見どころ満載です!

こんにちは、パリナビです。今回ご紹介するのは、パリの新しい現代アートの息吹を感じる美術館。ブルス・ド・コメルス=ピノー・コレクションです。ブルス・ド・コメルスとは商品取引所という意味で、その名前の通りレ・アールの商品取引所の建物を改築、リニューアルオープンした美術館です。しかもリニューアルにあたってデザインを手がけたのは日本の建築家の第一人者、安藤忠雄!歴史ある商品取引所の個性を生かしながら現代的な建築を取り入れ、文化の融合を感じる美術館として生まれ変わりました。
ここには実業家フランソワ・ピノーの膨大な現代美術コレクションが収められています。その内容は多岐にわたり、絵画や彫刻の他に写真やビデオ、音響作品とバラエティー豊か。ピノーはグッチやサンローランなどを傘下に収めるケリンググループの創立者です。事業家の手腕を発揮するかたわら芸術への審美眼にも優れていたピノーは、伝説的なアートコレクターとしても有名。2021年にリニューアルオープンしたこの美術館でそのコレクションが一般公開されるとこになりました。約10000点の作品を所蔵するブルス・ド・コメルスに早速入ってみましょう!

16世紀の商品取引所が美術館に

歴史とモダンが融合した建築

歴史とモダンが融合した建築

ブルス・ド・コメルスのある場所は16世紀のカトリーヌ・ド・メディシスの邸宅でしたが、18世紀に建て替えられて穀物専門の商品取引所としてスタート。ここでは小麦などの穀物の収納と取引が行われていました。19世紀の初頭に、火災のため木造だった建物のクーポールの部分が焼失してしまいます。そこで、前衛的な建築を目的にクーポールは当時の最先端の素材である鉄を用いて修復されました。これは評判が悪く、かのヴィクトル・ユーゴーも批判したとか。その後、鉄で覆われていたクーポールはガラスの天井に作り替えられます。
ピノー・コレクションのオープンに際して、建物のリニューアルを担当した安藤忠雄は、このクーポールの真下にある吹き抜けの地上階にコンクリートの壁を設置。丸い建物の形に沿ってぐるっと一周するような設計で、通路沿いにはアーティストによる作品を展示するスペースになっています。建物のファサードを含め、モザイクの模様が施された床や各展示室の木製のドアはそのままに、また柱時計や湿度計も保存されていて当時をしのばせます。歴史ある建物の風格を残しつつ現代の技術とセンスを取り入れたリニューアルです。
建物の全容と内部の模型 建物の全容と内部の模型

建物の全容と内部の模型

パッサージュ風のモザイク模様がある床

パッサージュ風のモザイク模様がある床

柱時計の横には湿度計も

柱時計の横には湿度計も

コンクリートの壁で仕切られています

コンクリートの壁で仕切られています

クーポールの壁画が復活

五大陸を描いたクーポールの壁画

五大陸を描いたクーポールの壁画

美術館の中央にあるクーポールですぐに目につくのが、ドーム部分一面に描かれた壁画です。19世紀に制作されたこの壁画もリニューアルの際に修復され、貴重な作品として復活しました。商品取引所という場所にふさわしく国際貿易をテーマにしていますが、アメリカやインドシナなどに対するフランスの植民地支配が色濃く出ている作品です。360度の壁画はそれぞれアメリカ、ロシア、アジア・アフリカ、そしてヨーロッパに分かれています。その間に挟まれているのはグリザイユと呼ばれる灰色を基調とした彫刻のような絵で、このグリザイユがそれぞれの大陸を区切っています。各大陸の絵を描いたのは別々の画家ですが、グリザイユの効果で壁画として見ると統一感があります。ヨーロッパの植民地支配をあえて展示することで公平な国際貿易の重要性を説く、意義のある壁画となっています。
360度の壁画は迫力があります。 360度の壁画は迫力があります。

360度の壁画は迫力があります。

さまざまな作品に対応した展示室

大がかりな作品にも対応できる広さ

大がかりな作品にも対応できる広さ


2階部分はドーム型に沿ってぐるりと展示室が並ぶ形になっています。全体に白を基調とした展示室は回廊沿いの壁に採光窓がついていて、クーポールからの自然光が入ります。絵画や写真だけでなく、オブジェや映像作品などもある現代アートの展示に適した、様々な作品に対応した作りです。特に映像作品の展示は音や光にも配慮されたスペースで、思わず時間が経つのを忘れそう。広々としたスペースを贅沢に使うことで、大がかりな作品でもゆったりと観賞することができます。
チョークで濃淡をつけた山

チョークで濃淡をつけた山

日本の桜を題材にした写真

日本の桜を題材にした写真

映像作品はパノラマスクリーンで鑑賞

映像作品はパノラマスクリーンで鑑賞

現代アートコレクションは1万点以上。定期的に内容が変わります

現代アートコレクションは1万点以上。定期的に内容が変わります

めずらしい二重構造の階段も要チェック

商品取引所の知恵が残っている階段

商品取引所の知恵が残っている階段

ブルス・ド・コメルスでは展示作品だけでなくその建築にも注目してみましょう。展示室の外側に面した階段は、他にはない二重構造になっています。これは商品取引所時代の名残りで、穀物を上の階に運ぶ人と下の階に運ぶ人がすれ違わないように階段が二つあるのです。まるでトリックのような面白い構造と、優雅な曲線のフォルム。中央を走る3本の照明が現代的な個性を出していますね。
ちょっとトリッキーな階段は曲線もステキです ちょっとトリッキーな階段は曲線もステキです

ちょっとトリッキーな階段は曲線もステキです

また、窓からはネルソン・マンデラ公園とフォーラム・デ・アールの建物、そしてその先にはポンピドゥーセンターまで見えます。すぐ隣にはサン・トゥスタッシュ教会も。こんなアングルでポンピドゥーセンターが見られるのもこの場所だからこそ。高ポイントです!
左手にはサントゥスタッシュ教会

左手にはサントゥスタッシュ教会

フォーラム・デ・アールの後ろにはポンピドゥーセンター!

フォーラム・デ・アールの後ろにはポンピドゥーセンター!

美術館併設のレストランとアート本が充実のブティックも

ピノー・コレクションの4階にはレストランHalle aux grainsが入店。ミシェル&セバスティアン・ブラスによるフレンチがランチとディナーで味わえます。また午後3時から6時の間も休憩をはさまずにカフェとしても使えるので、見学中のお茶タイムにもいいですね。レ・アールの景色を見ながら洗練されたお食事を楽しんでください!
1階には現代アートの本やグッズを集めたブティックも併設しています。スペースとしては小さめですが、ここでしか手に入らないピノー・コレクショングッズもあり、特別展のカタログなども販売しているので要チェックです。
お土産雑貨と本が充実 お土産雑貨と本が充実

お土産雑貨と本が充実

こちらも立派な作品です! こちらも立派な作品です!

こちらも立派な作品です!


ピノー・コレクションでは定期的に内容が一新されるので、訪れるたびに新しい作品に出会えます。また、ファミリー向けのプラン、参加型のアトリエや、建物に関するガイドツアーも開催されるなど、いろんな層の人が楽しめる工夫もされています。現代アートに加えて建築物としても見どころ満載のピノー・コレクション。レ・アールを散策する時にはぜひコースに入れてみてはどうでしょうか?
以上、パリナビでした。

記事登録日:2023-08-23

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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2023-08-23